Skinwalkers

05 Nocturne

スモールビル墓地。ちょっと霧がかかっている。
そこへ馬でラナが両親の墓を訪れる。墓に花を置くと、そこに古い美しい筆記体と赤い封蝋の古めかしい手紙が置いてある。人の気配に、誰かいるの?と言うラナ。しかし答えはない。

場面が変わり、森の中を青年が走っている。それを銃を持ち猟犬を連れた男性がさえぎり、彼に銃を向け撃つ。青年は地下室に入れられる。何を考えてるんだ、と非難する男性。青年は、お父さんごめんなさい、二度としないと誓います、と答える。


父:この家で暮らすうえでのルールはなんだ?
青年:バイロンは地下室に住む
父:それはなぜだ?
青年(バイロン):お父さんはバイロンに何が一番良いか知っているから。


どうやって出たんだ、今すぐ答えたほうがいい、さもないと、と父が言うとバイロンは、金属の棒を出してこれでこじ開けたと答える。それを取り上げ、またやったら、銃の中にトランキライザー以上の物があるからな、と言って階段を上がり地下室を出る父。扉が閉められる。

スモールビルハイスクールの廊下。
クロエがラナの手紙を読みながらラナと一緒に歩いている。そこへピートも加わり、クラークもトーチ編集部の入り口で合流する。クラークに気づき表情を曇らせるラナ。ラナの賛美者からの手紙だとクロエが言い、ピートが手紙をクラークに渡す。クラークはそれを読んで、ちょっと女々しいね、と言ってしまう。
ラナ:忘れるところだったわ。クラークケント、The Man of Steel(鋼鉄の男)。
笑顔の中に苛立ちを見せるラナと、気まずい空気に黙り込むクロエとピートとクラーク。ラナが部屋から立ち去る。僕から言わせれば、賛美者っていうよりストーカーっぽいよ、とラナが立ち去ったあとに言うが、クロエは微妙な笑いをして答えない。

バイロンの家。
父親が地下室のドアに上から頑丈な鍵を付けている。その音を地下で聞き、耳を塞ぐバイロン。

タロン。
ラナが接客からカウンターに戻ると、レックスが例の手紙を手にしている。プライバシーだとレックスから手紙を取ろうとするが、レックスはにっこりして渡さない。いいわよ、読んじゃって。あなたもクラークと同じようにこれが感傷的すぎるって思うわよ、と開き直るラナに笑って手紙を読み始めるレックス。読みながら、テーブルの片づけをするラナについていき、素朴だけど完全な洗練された韻律だね、誰が書いたの?と聞く。賛美者か変質者かあなたが尋ねる相手次第よ、と答えるラナ。変わったことはないか聞くレックスに、誰もがこの詩についてひどく言うから、ちょっと過剰反応してるかもと言う。レックスはそんなラナに、ジョン・ダンの「聖なるソネット」の一部を暗唱する。驚いたように、お気に入りの一人よ、と言うラナ。良く知らなかったら君の落としどころを見つけたって言うよ、とレックス。ラナが彼が詩に興味があると知らなかったと言うと、レックスは、詩をわからない人は詩が魅惑的だと知らないんだよ、と返す。そこへクラークが入ってくる。振り向くレックス。クラークに聞こえるようにラナが、芸術的表現を高く評価する素敵な人だわ、と言う。落ち着かない様子のクラーク。ライバルのためにバーは高くしておかないとクラークに話しかけレックスは立ち去る。
僕らの間がよくないのはわかってる、と話しかけるクラークに、冷たく平気よと答えるラナ。詩のことを謝りたいとクラークは言うが、受け入れない。

クラーク:君がピートとラナには見せて僕に見せてくれない事に驚いただけなんだよ
ラナ:私と何もかもを共有することは出来ないわよ、あなたが率直にならないならね


ちょっと黙ってからクラークは、君をこっそり見ている男をおかしいと思わないの?と言うが、ラナは、あなたは一度も遠くから誰かを見たことがないって言える?と返す。何も言えないクラーク。

レックス邸。書斎。
レックスの机にライオネルが座り、その前に青年が立っている。二度と間違いは犯さないと言っているが、ライオネルは彼を首にする。途中からドアのところでレックスが見ている。青年が出て行ったあと、ライオネルに、今月にはいって四人目だ、ハーバードやイエールから選りすぐったのにと文句を言う。履歴書に騙されてはいけない、挑戦に適しているかどうか目をみないと、と返す。アシスタントの失敗は俺の失敗だ、と言うレックスに、非難してるんじゃなく批評してるだけだ、考えてみたら自分から言い出したんじゃなくお前から支援を言い出したんだ、と話す。相変わらずで嬉しいよ、と嫌味を言うレックス。ライオネルは席を立って、なにも変わってないと言うが、レックスは、いまは世界の中心じゃないと声をかける。レックスを新聞で叩くように押しのけ、条件にあうアシスタントを連れて来いと言うがレックスは自分にはできないと答える。そんなことはないが完璧な奴はいないだろう、と言って部屋を出るライオネルに呆れて首を振るレックス。
サングラスをかけ、庭のベンチに座って小さな読み取り機で新聞を読んでいるライオネル。しかしいらだって読み取り機を放り投げる。庭に来たマーサが声をかける。マーサをベンチに招くライオネル。いつもは来ないんだけどとマーサが言うと、自分がいることでレックスの穏やかな生活を乱してると答えるライオネル。マーサは、レックスはライオネルがいることを嬉しがってるがなんて言っていいかわからないだけだと励ます。マーサのおおらかさに笑うライオネル。彼の手にある新聞に彼の記事が載っているのを見つけたマーサが、新聞をそっと取り上げ読み始める。彼女の株式に対する的確な判断に驚くライオネル。サングラスを取り、


ライオネル:マーサ・ケントがそんな鋭いビジネス眼を持っているとは、想像もつかなかったよ、君の才能は有機栽培にしか使わないのか?
マーサ:社交辞令として受け取っておくわ
ライオネル:使うべきだ


バイロンの地下室。壁にたくさんの写真や絵が貼ってある。
ラナへの手紙を書いていると、鍵を開ける音がしてドアが開き母親が降りてくる。手紙を隠すバイロン。古書店で本を買ってきた、と彼に渡す母。アラン・ポー、選び方を知ってるね、母さん、と言うバイロン。ちょっと読んだけど理解できなかったと言う母。彼は苦痛と、生きながら埋められた苦痛を描いてるんだ、と話すバイロンに、今の状態が一番いいのだと言う母。
一人になってから、バイロンはラナの手紙を完成させる。ベッドを動かし、剥がれている壁紙の下のレンガを取り出し始める。

スモールビル墓地。
両親の墓石に寄り添って、毛布をかけて寝ていたラナが目を覚まし、時計を見る。自分の行動に笑うラナ。そこへバイロンが現れ、彼を見つけたラナが呼び止める。詩を読んだ、美しかった、と声をかける。バイロンは立ち止まり、振り向く。バイロンが落とした手紙を拾うラナ。詩が好きなこと、ラナが詩をイメージさせる事をバイロンが話している時、ラナが彼に懐中電灯を向ける。突然それを叩き落すバイロン。そこへクラークが、ラナから離れろと叫んで飛び込んできて、バイロンは逃げようとするが墓石に躓き転んでしまう。走りよって心配するラナ。大丈夫だと言ったバイロンだったが、頭を触ったところ、指に血がついているのを見て気絶してしまう。

タロン。
ケーキを食べながら、気絶したなんて信じられない、と言うバイロンに謝罪するクラーク。バイロンはクラークに、美しい女性を守ろうとした、勇敢だ、と言い、ラナにこんなに心配してくれるボーイフレンドがいるなんて幸運だよ、と言う。ラナはクラークは過保護なただの友達だと否定する。がっかりしたようすのクラーク。バイロンが詩を暗誦し始める。ソネット集17番の一節に聞き入るラナと、まるで外国語でも聞いているかのように目を白黒させるクラーク。ラナが褒めると、クラークは誰がそれを書いたかと聞く。ちょっと軽蔑したかのような様子のラナ。シェークスピア、と答えるバイロン。
ラナが、自宅教育で誰とも会わないなんてイメージできない、と言うとバイロンは、持ったことがないものを失う事はないよ、と辛そうに答える。その彼の腕に何かで縛られたような傷跡があるのをクラークは見つけ、あんまり出かけないみたいだけど、ご両親が厳格なの?と聞く。僕に一番いいと思ってるんだ、と話すバイロン。そこに車の音がする。ラナが牛乳配達だわ、というとバイロンが驚いて立ち上がり時間を聞く。5時15分と答えるクラーク。両親が目覚めると、と店を飛び出すバイロンと、追いかける二人。
クラークとラナはがクラークのトラックでバイロンの家まで送る。家の前で慌てて降りるバイロンに、一緒に行ってご両親に何があったか話すかと聞くクラークを断って、家に走るバイロン。母親がきて急いで中に入れようとするが、父親がショットガンを持ち出てきてしまった。異様な状態に驚いて走りよるクラークとラナ。声をかけるが、バイロンに帰れと言われ、父親から、撃たれる前に出て行けと脅される二人。

ケント家のキッチン。
マーサとジョナサンで、ライオネルが彼女を雇いたいとの話をしている。ちょっとの間、働いてみようかと思っていると打ち明けるマーサ。ライオネルの動機はわかってるはずだ、と言うジョナサンに、よくわかっているが、お金が必要だし、挑戦してみたいと話す。ジョナサンは、農場生活は君には少し退屈すぎたんだな、と返す。そうではなく、自分の教育の成果を生かすチャンスなんだ、と説明するマーサ。プライバシーを失う危険を侵してもか、と怒るジョナサン。私の判断を信用しないの?やりたいの、と言い返すマーサに更に抗議しようとするジョナサンだが、ドアが開いてクラークとラナの二人が入ってきたのを見ていぶかしむ。一晩中一緒だったのかと聞くジョナサンに、クラークは虐待されている子がいると話す。

バイロン家の外。
保安官の車と、トラックから降りるジョナサンとクラークとラナ。
犬が吼える中、庭に入りドアを叩く。バイロンの両親が出てくる。保安官が、息子さんと話がしたいと言うと、それは無理だと答える父親。バイロンの居所を聞くクラークに、ジョナサンは保安官に任せろとたしなめる。バイロンの両親は保安官に、息子は八年前にクレイター湖で死んだと話す。ラナが彼と会ったのにと言い、ジョナサンはクラークがバイロンの父に脅されたと話すが、クラークとラナには会った事もない、忘れるのに何年もかかったのに、こんないたずらで思い出させた、こんな悪質なことをする子を育てるなんてどういう親なんだ? と逆に言い返されてしまう。泣き出すバイロンの母親。保安官はそれを聞いて、引き下がろうと言う。
ドアが閉められ、クラークは彼らが嘘をついていると話す。これは難しいぞという保安官に、ジョナサンは、トラブルに巻き込まれている若い子がいるかもしれないのに助けないではいられない、と言う。それを聞いて、令状を手配しようと言う保安官。

バイロンは家の地下室で外の様子に気づいたのか、涙を浮かべた目で、腕に繋がれた鎖を何度も引っ張っている。

トーチ編集室。
クロエが何かをプリントアウトしている。クラークとラナにそれを見せ、バイロンの死亡診断書だと言う。それは偽造だと言うクラークに、判断を信頼しないわけじゃないけど、可能性としては…といいかけたクロエにラナが、幽霊がケーキ三つとカプチーノ二杯を平らげるとは思えないと言う。
クロエは実は情報を追跡していた。診断書を書いたドクター・ジェンキンスは、八年前にメトロン製薬の医学ファイルを監修していた。クラークが、バイロンはそれの参加者だったんだろ、と言うとクロエは頷いて、全員、社会に反抗的な子供たちだったと言う。ラナはバイロンを探すべきだと言うがクラークは保安官が何かを見つけるのを待つべきだと言う。

レックス邸宅。
ライオネルが書斎のグランドピアノでショパンのノクターン13番ハ短調を弾いている。誰かが入ってきた様子があり、レックスの声がする。センチメンタルすぎて嫌いだと思ってた、というとライオネルはピアノを弾きながら、繊細さに欠ける時があると思うだけだ、と答え、レックスの声が怒っている事に話を移す。レックスは、ケント夫人をあんたが雇ったとわかるまで、面接を続けて時間を無駄にした、と言う。どんな企みなんだ?と聞くレックスに、ライオネルは笑って、マーサは有能で、動じない正直さはなかなか手に入らない、と言う。レックスは、なぜ急にケント家に興味を持ったか知らないが、手を引いて欲しいと言う。ライオネルは、レックスが彼らに受け入れられると思うか聞き、ゼウスとプロメテウスの神話を持ち出し、レックスは結局は自分の世界から逃れられない運命だと遠まわしに話す。レックスは語気を荒げ、ケント一家を傷つける計画を見つけたらデタントはそこでおしまいだ、と言う。ライオネルはちょっと考えるような顔をしたあとにやりと笑い、何も答えずまたピアノを引き始める。レックスはため息をついて部屋を出る。

バイロン家。
クラークとピートが中をうかがっている。保安官を待つってのはどうなったんだよ、とピート。バイロンがここにいるかどうか知る必要がある、とクラークは答える。クラークが窓に打ち付けてある板を剥がすと、犬が突然腕に噛み付いてきた。しかし鳴き声をあげて家の中に逃げてゆく。腕をさするクラーク。
二人で中に入り、クラークが階段横の床を透視してカーペットの下にドアがあるのを見つける。鍵をちぎってドアをあけ、中に入るクラーク。繋がれたバイロンの鎖を壊し、解放する。驚くバイロン。出ようというクラークに、日中出かけたときに父親にひどく痛めつけられたと怯える。なぜか拒絶するバイロンを無理に外へ引きずり出し、家の外へ連れ出し、太陽の光の下へ行くと、急にバイロンが苦しんで倒れこむ。バイロンの背中の皮膚が盛り上がり、声も低く変わり、クラークを突き飛ばす。高く飛ばされるクラーク。バイロンの顔は真っ白になり、眼球が黒くなり、体全体が膨れ上がったような状態になっている。凝視するピートを、なにを見ているんだと怒り突き飛ばす。飛ばされたピートは家の下にあった壊れた車のフロントガラスに突っ込む。バイロンはそのまま逃走するが、クラークはピートが心配で後を追わなかった。

病院の個室。
ジョナサンとマーサが入ってくる。ベッドには左腕をギプスで固定されたピートと、その横にクラークがいる。ヒビが入っただけだ、この家族の一員になるには保険に入らないとね、と痛さをこらえて冗談を言うピート。
保安官を待てと言ったのにとジョナサンが聞くと、クラークはバイロンが閉じ込められていたことを伝える。ピートは、バイロンはクラークが外に連れ出したときジキルとハイドのようになったと説明する。

バイロン家の地下室。
バイロンの母とジョナサンとクラークが階段を降りてくる。夫はバイロンを探しに出ているがすぐに戻ってくる、と忠告する母親。ジョナサンは、クラークが責任を感じていることと助けたいと思っていると話す。
母親はバイロンの変化が薬の副作用だと語る。太陽の下には出られない、こんな事は望んでなかった、彼らは薬は彼を良くするだろうと約束した、薬は彼を普通にするはずだった、同じ副作用で他の六人は死んだ、ドクター・ジェンキンズはバイロンをまるで宇宙人のように機械にかけた、と話す。
なぜ死亡診断書を偽造したかとクラークが聞く。母親は、どうしたらいいかわからなかった、彼を地下室に閉じ込めたときかれは何日も泣いていた、彼はなぜ自分が地下に閉じ込められなければいけないのか、理解できなかった、まるで怪物のように彼を感じた、と、辛そうに語る。
彼女の話から、太陽からバイロンを遠ざければ、彼は元に戻るとわかった。

タロン。
カウンターで仕事をしているラナにクラークが近づく。
ラナはピートに会ってきたところだと言う。ピートから何が起こったか聞いた、電話をありがとうと嫌味を言う。クラークが後ろめたそうに何か言おうとしたが、ラナは怒って続ける。なぜ嘘をついたのか、バイロンは友だちだから助けたかったのに、あなたは私を出し抜いた、と言うとクラークが、君が怪我をするのはいやだからという。それだけ?私を信用してないんじゃない?とラナが言うと、クラークは一瞬黙り込み、話を変えて、バイロンには会ってないね?と聞く。ラナはあってない、私はあなたにいつも正直だから、と言う。そこへクロエが入ってきて、我らのシェークスピアがなぜプロレスラーに変わったか突き止めたわよ、とまくし立てる。
バイロンに試された薬は彼の副腎機能を狙ったものだった、メトロン製薬はすでに閉鎖されて、研究は終わっている、とクロエは説明する。なぜそんな研究をしたのかと聞くラナ。クロエはクラークに、彼の母の新しいボスに尋ねるべきだと言う。メトロンがルーサー所有だと知ったクラークはレックスと話すと言う。
クロエがピートに会いに去ったあと、ラナが仕事をやめて出かけようとする。どこへ行くのか聞くクラークに、バイロンを探しに行くと言うラナ。みんなが探してるからと言うクラーク。ここでコーヒーを注いでろって言うの?といらだつラナに、バイロンは別人になっているから注意しろ、もし見つけたら近寄りすぎず、誰かに電話するよう忠告するクラーク。

バイロンの墓の文字を、指で誰かがなぞっている。ラナが柵の向こうからやってきて、バイロン、と声をかける。うつむき加減に振り向くバイロン。戻らないと激しく言うバイロンに、自分が会ったバイロンはこんなことは望んでない、ルーサーコープがこんな状態にしたのはわかってる、いまクラークがライオネルの息子に話しに行ってる、治療方法を見つけられる、となだめるラナ。しかし、バイロンは治療法方はないと否定して、ラナに掴みかかり、求めるバイロン。ラナが抵抗すると、奴らが自分を誰からも愛されないようにした、君でさえも、と怒り、ラナを突き飛ばす。大きな墓石にぶつかり、気を失うラナ。動揺したように叫んで、ラナを置き去りにして走り出すバイロン。

レックス邸。書斎。
デイリープラネット新聞のライオネルの記事をレックスが見ている「メトロン社閉鎖で株価急落」
マーサが仕事を気に入っているらしいこと、また、仕事に全員が賛成したわけではないことをクラークが話す。
書斎を出ながらレックスが、メトロン社を調べるが今は工場へ行かないと言った時、音がして、ヘリコプターが庭に着地する。マーサがライオネルをヘリコプターに導いている。

庭。ヘリコプターに乗り込むライオネルとマーサ。
初日にメトロポリスに飛ぶなんて思わなかったと言うマーサ。ライオネルが楽しそうに、パイロットにフライト指示をする。しかし離陸しかけたヘリコプターが突然引き戻される。混乱する機内。マーサが外を見るとバイロンがヘリコプターの足を掴んで引き戻そうとしている。ついにヘリコプターを地面に降下させるバイロン。衝撃でパイロットが気絶する。何が起こったかわからないライオネルのシートベルトを外し、早く出ようと叫ぶマーサ。しかしバイロンがドアを開け、マーサをつかみ出す。続けてライオネルを引き出して地面に叩きつける。全く状況が飲み込めないライオネルを、お前が僕をこうしたんだと言って更に投げ飛ばすバイロン。ライオネルに近づこうとするバイロンに、クラークがスーパースピードでぶつかり、突き飛ばす。君を傷つけたくないんだ!と叫ぶクラーク。止める事はできない!とバイロンはクラークを殴り飛ばす。マーサが、クラーク!と叫ぶ。状況を聞いているような顔のライオネル。
クラークは庭に井戸があるのを見つける。スーパースピードでバイロンに飛び掛り、井戸に一緒に転げ落ちる。暗がりの中でバイロンを壁に押さえ込むクラーク。バイロンは顔が元に戻り、我にかえり、クラーク?と不思議そうに声をかける。ほっとして、もう大丈夫だよ、と言うクラーク。

病室。蛍光灯の下のベッドにバイロンが寝ている。
クラークが入ってくる。軽い読み物を持ってきた、と"100 of the World’s Best Limericks "と記された本を渡す。失われた芸術様式だよと言うクラークに笑うバイロン。何も覚えてないけど、君を傷つけなかったとは信じられない、と不思議そうに言うバイロン。ためらうクラーク。そこにラナの声がする。運がいい人もいるわ、と言う。クラークが手首はどうかと聞く。ラナの左手首はサポーターで庇われている。良くなってると答えるラナに、バイロンはすまなそうにする。心配しないで、あれはあなたじゃなかったってわかってる、とラナ。勇気をほめるバイロンに、ラナは、友だちは注意しろと警告してくれた、私は彼の言うことを聞くべきだったと言って、クラークを見る。
バイロンはラナの手を取り、握る。微笑むラナ。そっと病室を出て行くクラーク。

レックス邸。書斎。
レックスが、ライオネルに、大丈夫だったかと声をかけながら入ってくる。ソファに座っているライオネル。右腕を吊るしている。マーサとクラークのおかげでねと言うライオネルの言葉に、クラーク?といぶかしむレックス。彼はずいぶん風変わりだねと言うライオネル。そこへマーサが入ってくる。お金は財団から新規の口座にに振り込まれると話す。7時を過ぎたのに親父のマネーロンダリングの用意をしたのかと呆れるレックス。マーサは、バイロン・ムーアについて新しい調査研究の資金提供をするようライオネルに頼んだのだと言う。ライオネルの肩に冷却材のようなものを置いて具合を聞く。嬉しそうなライオネル。
レックスは、親父は慈善ビジネスはしないって言うと思うよというと、ライオネルはそれを認める。しかし、マーサが、バイロンが普通の生活に戻るのを助ける事に費やすほうが、顧客の信頼回復用の広告にお金を費やすより安いと説明した、と話す。明日サインする書類がありますからね、とライオネルの肩に軽く触れ、帰っていくマーサ。マーサが立ち去った方向に顔を向けるライオネルと、その様子を見て声を出さずににんまりと笑うレックス。


ライオネル:レックス、お前がにやにや笑ってるのがここからでもわかるぞ。
レックス:よく気をつけないと、父さん。新しい助手は、あんたの優先事項の順番を並び替えはじめるかも。


軽く笑うライオネル。

ケント農場。ラナが農道を歩いてくる。
トラックの上で干草の束を載せているクラークに話しかけるラナ。夕べはお得意の姿消しをしたわね、と明るい声で言う。二人きりにしようと思ってと言うクラーク。トラックを降りた彼のジーンズの後ろポケットから、本を抜き取り、ソネット?いつもは読まないでしょ?と聞くラナ。バイロンはそれにはまってた、自分も何か学べるかもと思って、と答えるクラーク。どうだった?とラナが聞くと、自分向きじゃなかった、と答える。正直な答えだわ、気に入ったと楽しそうに言うラナ。
クラークは少し黙ったあと、最初から率直じゃなかったことを詫びる。ラナは受け入れ、バイロンと向き合って怖くなったとき、最初に思い出したのはあなたのことだったわ、自分は成り行きを悪くしただけだった、と話す。友だちを助けようとしただけだ、問題はないよ、と励ますクラーク。
ラナはトラックの荷台に座り、クラークも隣に座る。バイロンが「違う」ことを気にするか聞くクラーク。もしほんとうに誰かを好きなら、その全てを受け入れる。でも相手がそう望むまで共有はできない、と言うラナ。クラークは、バイロンのようにみんなを怖がらせないように隠す場合もあると思うよと返す。


ラナ  :誰かと親しくなりたいなら、そのリスクも犯さなきゃ。
クラーク:そのリスクが大きすぎるものだったら?
ラナ  :素晴らしいものになりうる事を逃すかもしれないわね。

ちょっと見つめあい、目を逸らし、黙って座る二人。

END